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そう

僧

小川 未明

「新小説」1910(明治43)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,206 字 · 21 页

青空文庫

この上他人に迷惑をかけまいと思ってか? 饑と寒さに堪え兼てか? 中にはこう言ったものがあった。昔は武士の家庭に育った娘だ。これ位の決心はあるだろうと。その者の言った言葉は、其処に立会ていた者に、花の時代を思わしめた。曾て二十、十八九の時分、この老婆は……と様々の幻想を描かしめた。それも束の間であった。今、目の前に、見るに堪えぬ死態をしている。衣物は、薄い単衣で、それすら、破れた肩を幾度となく継いであった。

他の一人は、やや違った解釈をした。それは、何時、年老て自分が死ぬか分らない。自分が死んだ後、誰がこの狂人の世話をしてくれる者があろうか。それより、自分の手にかけて殺し、自分も直にその後を追ってやはり、死んでからも親子であるという考えからやったことだといった。

何故かこの一言は、其処に居た一同を涙ぐませた。村の人は丁寧に二人の死骸を埋葬してやった。

或年の夏、何処からとなく、僧がこの村に入って来た。

今は、この僧が来ると、誰か一人この村で死ぬのでないかという疑を抱かぬ者はなかった。曾て誰やら言った噂を気にせない者はないようになった。

「また、あの坊さんが来た。