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あにたち

兄たち

太宰 治

父亲早逝后,几位兄长撑起家业,长兄虽成年轻政治家却暗藏戏剧梦,太宰治用温情笔触回忆那段被兄长们守护的日子。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,915 字 · 16 页

青空文庫

それから、また、吉井勇の人柄を、とても好いていました。次兄は、酒にも強く、親分気質の豪快な心を持っていて、けれども、決して酒に負けず、いつでも長兄の相談相手になって、まじめに物事を処理し、謙遜な人でありました。そうしてひそかに、吉井勇の、「紅燈に行きてふたたび帰らざる人をまことのわれと思ふや。」というような鬱勃の雄心を愛して居られたのではないかと思われます。いつか鳩に就いての随筆を、地方の新聞に発表して、それに次兄の近影も掲載されて在りましたがその時、どうだ、この写真で見ると、おれも、ちょっとした文士だね、吉井勇に似ているね、と冗談に威張って見せました。顔も、左団次みたいな、立派な顔をしていました。長兄の顔は、線が細く、松蔦のようだと、これも家中の評判でありました。ふたり共、それをちゃんと意識していて、お酒に酔ったとき、掛合いで左団次松蔦の鳥辺山心中や皿屋敷などの声色を、はじめることさえ、たまにはありました。

そんなとき、二階の西洋間のソファにひとり寝ころんで、遠く兄たち二人の声色を聞き、けッと毒笑しているのが、三男でありました。この兄は美術学校にはいっていたのですが、からだが弱いので、あまり塑像のほうへは精を出さず、小説に夢中になって居りました。