轻松读懂日语经典作品
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くらのすけるす
内蔵允留守
山本 周五郎
「キング」大日本雄弁会講談社、1949(昭和15)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,082 字 · 24 页
三
娘は僅かに頬を染めながら、けれども歯切れのいい口調で答えた。
「ようおいでなされました、わたくし奈美と申します」
三
「お客さま、御膳のお支度ができました」
虎之助はそう呼ばれてようやく眼を覚ました。……だいぶ寝過したらしく、強い陽ざしの反射が部屋の中でも眩しく感じられる。骨が伸びると云いたいほどの熟睡の後で、躯じゅうに快い力感が甦っているのを感じながら、虎之助は元気よく起きて洗面に出た。
「あんまりよくお睡りになっているので、お起こし申すのがお気の毒でございました」
「よく寝ました、ずっと旅を続けて来たのでいっぺんに疲れが出たのでしょう、ああ、栗がよく実っていますね」
「わせ栗ですから、もう間もなくはぜますでしょう」
娘は手水盥に、川から引いた清洌な水を汲み、甲斐がいしく虎之助の洗面の世話をしながら、この付近が栗の名産地であることを語った。……年はまだ十七八であろう、肉付のきりっと緊った、どちらかというと小柄な躯で、熟れた葡萄のように艶々しい表情の多い眸子と、笑うと笑窪の出る豊かな双頬がたいそう眼を惹いた。昨夜聞いたところに依ると、老人の名は閑右衛門、豊島郡の方に古くから百姓を営んでいたが、去年隠居をして孫娘と二人此処へ移って来た。