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にとせろうじん
再度生老人
佐左木 俊郎
「宇宙」1928(昭和3)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,770 字 · 14 页
わしは、気が向いた時に、気の向いたものを描く。」と言ったこともあるそうだ。
私は、どうしても、天神様の絵は描いてもらえないものと思った。
その日は雪が降っていた。
私は学校から帰って来ると、母から、再度生老人が置いて行ったのだと言って、新聞紙に包んだ巻き物を渡された。
私は小躍りするようにして、顫える手先で静かに展いて見た。
それは、梅の木の下に立っている菅公の像であった。梅の花の下で、私を凝視めているように私には思われた。その真面目な、むっとした顔は、此方の心を見すかしているようで、悪い考えを抱いたり、怠けたりすることは、出来ないような気がした。
私は早速、自分の室の、本箱の上の壁に、飯粒で貼りつけた。そして、仏壇から小さな蝋燭を持って来て、お燈明を焚いて上げた。
その晩、貼り紙おばが眇の息子を連れて湯に這入りに来た。
「あのね、そら、寺にいた再度生爺様はね、どこがさ行ってしまえしたでは。……」
ちょっとの間も黙っていられない貼り紙おばは語り出した。
「どうしてしゃ?」と私の父が訊いた。
「なうにね、和尚が、やきもちを焼いででがす。私ね、あの爺様の洗濯をしてやったら、和尚が、そんなごどをするなって、叫び立てたりしてね……」