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しゃせいにでかけたしょうねん
写生に出かけた少年
小川 未明
「小学四年生」1939(昭和14)年8月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,639 字 · 4 页
ばかは、馬の顔に自分の顔を打ちつけました。
「ひゃっ!」と、びっくりした彼は、おどろいて顔を上げると、馬の大きな顔を見たので、手に持っていた、銅貨をばらばらと落としました。
ガラガラと、そんなことに気づかず、馬子は、馬を引いていってしまいました。
その後で、ばかは、いっしょうけんめいに落とした銅貨をひろっていました。
すると、また、けたたましい音をたて、あちらから、オートバイが砂煙を上げてやってきました。なんと思ったか、あわれな男は、拾った銅貨をにぎって、逃げるように、どこへとなくかけ出していきました。
「あ、は、は、は。」と、二人の少年は、その有り様を見て、笑わずにいられませんでした。
二人は、また写生にとりかかって、しばらくは、それに余念がなかったのです。
「西田くん、あすこに、光るものが落ちているね。」と、さっきばかの銅貨を落とした道の上を、南が指したのでした。
「ああ、オートバイがきたので、あわてて、みんな拾わずにいったんだよ。」
「かわいそうだね。」
「きっと、さがしに、もどってくるだろう。」
「早くもどってくればいいが、知らぬ人が通ると拾ってしまうね。