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しょかのふしぎ

初夏の不思議

小川 未明

「赤い鳥」1923(大正12)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,669 字 · 8 页

青空文庫

これから、つぎつぎと生長する圃の野菜物に手をいれてやらなければなりません。それで、おじいさんは、なかなか暇というものがありませんでした。

八百屋の主人は、小僧を呼びました。

「このすいかをかついで出て、売ってこい。」といいました。

すこし値は高いが、はしりではあり、こんなにいいのだから、売れないことはないと、主人は考えました。

「もう、半月もたちゃ、すいかだって珍しくはない。いまなら値が張っても売れるだろう。」と、主人は、つけくわえていいました。

小僧は、遠方から、この店に雇われてきていました。正直な少年でありましたが、生まれつきものをいうときに、どもる癖がありました。そして、急き込めばますますどもるのでありました。だから、小僧がものをいう時分には、耳たぶが赤くなって、平生でさえ、なんとなく、そのようすがあわれに見られたのであります。

小僧は、主人にいいつかって、両方のかごに幾つかのすいかを分けていれました。それをかついで、町の中を売って歩きました。また、さびしい屋敷町の方へと、はいっていったのであります。

ある家の前へきましたときに、女が呼び止めました。