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はつなつのそらでわらうおんな

初夏の空で笑う女

小川 未明

「童話」1925(大正14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,940 字 · 10 页

青空文庫

また、真紅に咲き乱れた花が、風に吹かれて、いまにも散りそうなようすを、手を振り、足を動かし、体をひねって、してみせたのであります。

「なんというおもしろい踊りだろう……。」と、みんなは口々にいいはやしました。

ここに、金持ちのお嬢さまがありました。お父さんや、お母さんは、たくさんのお金を残して、この世の中から去られたので、お嬢さまはりっぱな、大きな家になに不自由なく、独りで暮らしていられました。

このお嬢さまが、ちょうど劇場にきて、娘の踊りを見ていられましたが、踊りばかりでなく、この娘がたいそう気にいられました。

「おまえさんは、わたしの家へきませんか。」と、お嬢さまは、踊りが終えると、娘にあって話されました。娘はお嬢さまに向かって、

「私は、ただ踊りたいのです。私を自由に踊らせてくださればまいります。」といいました。

「わたしは、おまえさんから、その踊りを習いたいのですから、そんな、気兼ねはすこしもいりません。」と、お嬢さまは答えられました。

娘は、その日から、お嬢さまの家へ住むことになりました。

お嬢さまの家は、りっぱなお家でした。そして、青い着物をきた、もう一人美しい娘がいました。