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しょか(せんきゅうひゃくにじゅうにねん)
初夏(一九二二年)
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,549 字 · 8 页
ルドン、マチス、クリムトの絵を見る。
実に近代の心、思いが犇々と胸に来る。
哀訴や、敏感や、細胞の憂愁は
全く都会人、文明人の特質で
古代の知らない病であると云うかもしれない。
然し、等しく、此等は人類の心の過程ではありませんか
我々は、彼の素朴と敏感とを並び祖先に持つ我々は
其等を皆、我裡に感じる。
奇怪な深夜の幻想、
訳知らぬ文明のメランコリア。
又、ともに
最古の原始をも愛し、憧れる。
野を愛し、部族の生活を思い出し
単純に、純朴にと
一方の心は流れ囁く。
而も、一方は無限の視覚、聴覚、味覚を以て
細かく 細かく、鋭く 鋭くと
生存を分解する、又組立てる。
考 (一)
若し日本人に
ヨーロッパ人のような哲学
神の意識がないなら
生粋ないままでよいと思う。
只、人類の真髄に触れる心力さえあれば
精神の深奥の殿堂に詣れる霊魂さえあれば。
然し、考えなければならないのは
若し、左様に精神が強ければ
きっと、独自な宗教や
哲学――等しく人間、宇宙を極めようとする
意欲、探求の現れが生じるのではないかと思う。
近頃、私は、封建時代、明治三四十年代の日本人と
今二十四五歳の日本人との間に
実に明かな差が生じたのを感じ、