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りしりざんとそのしょくぶつ
利尻山とその植物
牧野 富太郎
「山岳 一の二」1906(明治39)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,115 字 · 22 页
ことも出来るが、またある時には腰を屈めて潜らなければならぬという有様で、随分登る時には楽でない道筋であった、この辺一体のハイマツは、山火に焼けたのであるか、枝が枯れて白く曝されたようになって、それも山上に登ってから眺めるというと、殆んど雪でも積っているかと思うほどに白く見えるところが、随分と広いのである、困難に困難を重ねて、一行は殆んど弱り切ってしまった頃に、漸く道路らしいものに出ることが出来たが、これが鴛泊の町から、利尻山に登る本道であるとのことである、道路といってももとより山道であるからして、至って小さい上にまた勾配も急である。
この辺には、イワツツジが沢山に生えていた、勿論花は既に稀であったが、このイワツツジの果実は赤い色のもので、食うことも出来るしまた芳わしい香があるのである、それから花はないが、この辺には既にキバナノシャクナゲも沢山自生していた、その外にはエゾフスマなどが生じておったと思う、この辺から先きは殆んど峰伝いに頂上に向って進むという有様である、此処が恐らく薬師山と称せられる峰であるだろうと思う、もしそうであるとすれば、標高四千尺位の所に一同は既に達している