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りしりざんとそのしょくぶつ

利尻山とその植物

牧野 富太郎

「山岳 一の二」1906(明治39)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,115 字 · 22 页

青空文庫

という所に着して、十時頃また同所を出発して、翌八日の午前六時頃、焼尻島に碇を下した、という程もなく、直に同所を出発してまた七時に天売に一時進行を止めて、また北に向って出発した、午前十一時頃であったろうと思う、利尻島の内で、鬼脇という港に着いた、この港は利尻の内で第一の都会といっても宜しいのである、それから午後一時二十分というに、いよいよ一行が上陸すべき鴛泊の港に投錨した、直に上陸して熊谷という旅店に一行は陣取ることになった。

この日は朝からして雲が多く、思うように山の形を見ることも出来なかったのでもあるし、幸いにして海上の波は穏かであったけれども、格別面白いこともなくして十時頃になったのであるが、幸いにも次第に晴天となったので、鬼脇に着する前からして、遥かに利尻山の尖りたる峰を眺むることが出来た、早上陸する前から一同は山ばかりを見て、あの辺がどうであろうとか、そうではあるまいとかの評定ばかりで、随分傍から見たら可笑い位であったろうと思う、一行の泊った熊谷という宿屋は、この土地ではかなりの旅店で、殊に最初思ったよりは、この島が開けているので、格別不自由を感ずるほどのこともなかった。