轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とねがわのあゆ
利根川の鮎
佐藤 垢石
「つり人」1948(昭和23)年4月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,875 字 · 10 页
親不孝と流浪と懶惰と遊酒と、そのほかに何をなしたであろう。まことに、取るに足らぬ人生であった。有害無益の人生であった。実に意味なき人生であった。思えば思うほど、悲しき寂しき人生であった。学びに勉めず、仕事に励まず、蕩兒の姿が私の過去のすべてであった。世の中に対しては言うまでもないが、身近なもの、親のため、妻のため、子のため、友のために何一つなしてこなかったではないか。
痛恨きわまりなき、我が人生であったのである。
しかしながら、こうした悲しい想い出のうち、僅かに私を慰めてくれるものがある。それを想い出し、頭に夢を繰り返す時だけ、私の悲痛は救われるのである。というのは、過ぎし私が経てきた長い年月にわたる「水と山」の巡礼である。
私は、私に幼いときからの「水と山」の巡礼の想い出がなかったならば、私の人生は地獄の苛みであったであろう。私は、過ぎし水と山の旅を追想しては、貧困な人生にせめて潤いを求めているのである。
行末にねがっても、同じ想いである。もうあと幾年生きられようか。よし、これから二十年三十年生きられたところで、己も満足し、世の人も認めてくるような仕事が、何一つなし得る見込みもない。