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こくこく

刻々

宮本 百合子

「中央公論」1951(昭和26)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页

青空文庫

「触ルト死ぬゾ※(感嘆符二つ、1-8-75)」と大書した紙をぶら下げた鉄条網に二百ボルトの電流を通じて警官の侵入を防いでいる写真が新聞に出たりした。闘争基金千円を募集し食糧を一ヵ月分車輌の中に運び込んでいること。婦人従業員をふくめた自衛団が組織され、全員十六歳から二十五歳という青年だがその統制が整然としていること。職場の特殊性をすべて争議団側に有利なように科学的に利用している点とともに、革命的指導による極めて新しいストライキの型を示すものであった。交通産業上に歴史的なばかりでなく、これまで日本にあったストライキから見ても、溌溂とした闘争力、計画性、科学的なやりかたで、広い影響を与えた。

信州でも、地下鉄のストライキとその婦人も勇敢に闘ったやりかたについては話に花が咲いたのであった。

ストライキは会社と警察を手古摺らせたが強制調停で終った。出征兵士は欠勤とし軍隊の日給をさし引いた賃銀を支給すること、各駅にオゾン発生器をおくこと、宿直手当、便所設置その他を獲得し、婦人従業員の有給生理休暇要求は拒絶されて女子の賜暇を男子と同じによこせ、事務服の夏二枚冬一枚の支給、その他を貫徹した。