轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくこく

刻々

宮本 百合子

「中央公論」1951(昭和26)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页

青空文庫

「ひっぱりようがこの頃と来ちゃア無茶だもん。うかうか往来も歩けやしねえや」

満州で侵略戦争を開始し、戦争熱をラジオや芝居で煽るようになってから、皮肉なことにカーキ色の癈兵の装で国家のためと女ばかりの家を脅かす新手の押売りが流行り、現に保護室にそんなのが四五人引っぱられて来ているのであった。

そんな話を聞いていると、私は左翼の者を引っぱるために、警察が飲食店の女中たちを一人つかまえさせればいくらときめて買収しているということを思い出した。交番の巡査が、何でも引っぱって来て一晩留置場へぶちこみさえすれば五十銭。共産党関係だったら五円。所謂「大物」だとそれ以上――蔵原惟人でいくらになった? そう思うと、体が熱くなるのであった。

暫くして、私は金網越しに云った。

「――だけれども結局、いくら引っぱって見たところではじまらないわけですね。世の中の土台がこのまんまじゃ。二十九日が来た。ソラ出ろ。……やっぱり食う道はありゃしない」

「ふむ……」

監房の前の廊下はまだ濡雑巾のあとが春寒く光り、朝で、気がだるんでいないので留置場じゅう森と、私の低いがはっきりした言葉を聞いている。