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こくこく

刻々

宮本 百合子

「中央公論」1951(昭和26)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页

青空文庫

と禁止した。

現に地方などでは、「働く婦人」を一冊とるだけにさえうるさく妨害しているのであった。

「……指導は誰がやっているんですか」

やがて清水が煙草に火をつけて訊いた。

「誰が指導するということはない、編輯会議でするんです」

「しかし、指導しないでこんなに高度になって来るわけはない。ね、――例えばこれを御覧なさい」

清水は「働く婦人は今度の戦争をどう見るか?」という特別投書欄の鈴木桂子の文章の上を叩いた。

「え? こりゃ一目見たって素人が書いたものじゃない、誰です」

「鈴木桂子と書いてあるじゃありませんか」

「鈴木っていうのは何者だ」

「知りません。投書だもの……」

自分は、

「一寸考えても御覧なさい」

と云った。

「あなたがたは、高度になったとか女のようではないとか云うが、実際今の世の中で、女は男なみ以上働かされている。それでとる金は半分です。キリキリ女をしぼっている。それでしっかりして来なければその方がどうかしている。あなた方だって、自分の体が満足なら細君を所謂女らしく封じて置けるだろうが一朝永患いをして金がないとなったら、警視庁が五年十年と養ってはくれないでしょう。