轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくこく

刻々

宮本 百合子

「中央公論」1951(昭和26)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页

青空文庫

「扱いようの問題じゃないか。……つまりこういう風に扱うのはいけないと云うわけなんです」

「だが、戦争をしたって不景気が直らず、却ってわるいというのはお互に知りぬいている事実ですよ。従って、戦争が自分たちのためにされているものでないことがわかるようになるのも実際のなりゆきで、そう思うな、ということは出来ない。いいわるいより、先決問題は現実がどうであるかというところにあるわけでしょう」

清水は、半面攣れたような四角い顔をハンケチで拭いて、それをズボンのポケットにしまいながら、声を落して云った。

「よしんば実際はそうであろうとも、この世の中には現実のままで人前には出せないことがあるもんです。そうでしょう? え? たとえば、夫婦関係は現実にはわかり切ったものであるが、それを人前で行う者はない。え? そうでしょう? ありのまま云っては都合のわるいことがある。――ね? そこのことです」

「誰に都合がわるいんでしょう?」

「…………」

清水は、ふと気を換えるように、

「この詩を知っていますか」

と、イガグリ頭を仰向けるように眼を瞑り、節をつけて何かの漢詩を吟じた。古来孝子は親の、名を口にするのさえも畏れ遠慮するというような意味のことをうたった詩である。