轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こくこく
刻々
宮本 百合子
「中央公論」1951(昭和26)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页
市ケ谷の刑事既決女囚は、昔、風呂に入って体を洗うのに、ソーダのとかし水を使わされていた。それが洗濯石鹸になった。同志丹野その他の前衛が入れられてから、そういう人々は、人間の体を洗うに洗濯石鹸という法があるかと、自分達の使う石鹸を風呂場に残しておいて皆に使わして呉れ、と要求して、今では花王石鹸が入っているのだそうだ。
そういう話をし、その女は、
「ああいう人達は、とても確りしたもんですからね」
と、自分の目撃を誇る調子で云った。
「ああいう人達が沢山入って来るようになってっから、私共の方だって全体にどの位よかったかしれないんですよ。女監守が、無茶に私共をいじめでもすりゃ、ひとのことだって黙ってやしないからね。文句を云うし、どんな偉い人だって目の下で、どこまででも持ち出して行くから、ビクビクものなんですよ」
或る時女監守が女囚の一人を理由なく殴ったということから、独房の前衛婦人達が結束して抗議をはじめ、大騒ぎになった。男の方からやって来て、抑圧したのだそうだが、
「ふふふふ、その時ね、一人の女監守があわをくって、卒倒しちまったりしたんですよ」
度々の獄中生活で、その女は二十八という年よりずっと干からびた体であった。