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こくこく
刻々
宮本 百合子
「中央公論」1951(昭和26)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页
サークルの話も出た。文化団体のサークル活動が新しい方針によって実行されるようになってから日の浅いせいもあり、組合のアジプロ活動などと、まだ十分うまく結合、利用されていない――。
「あなた方の活動の日程に、この問題が本気でとりあげられています?」
女の同志は、
「さあ」
と考え、
「皆が皆、そこまでハッキリ考えちゃいないわね」
率直に、
「ああ、文化団体か! ってところはのこっているわね」
と云った。だが、交運関係では、既にサークルをもっている職場がいくつかある。自分はそのことを話し、笑いながら、
「どう? 知っていた?」
ときいた。
「知らなかった」
「我々はこれまで、お互にいろんな損をして来ていると思う。我々が偏見をもって反撥していれば、それだけ嬉しがってる奴があるんだから」
「――そう思うと、癪だね」
「ねえ!」
そんなことを話し合って監房の金網から左手の欄間を見上げると、欅は若葉で底光る梅雨空に重く、緑色を垂らしている。――
ズーッと入って行って横顔を見、自分はおやと目を瞠った。いつかの地下鉄の娘さんの父親がやって来ている。
「そういう次第でして――私としましては或はもう死んでいるものと思いますが、どうぞ一つ、よろしくお願いします」