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こくこく
刻々
宮本 百合子
「中央公論」1951(昭和26)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页
掲載されている。警視庁特高係山口、明大生の頭を割る。山口が太いステッキを振って椅子の上から荒れ狂い、何にもしない明大生を、わきにいたばっかりに殴りつけ昏倒させたという記事が出ている。大衆の圧力と、彼等の狼狽が、新聞の大きい活字と活字の間から湧きたって感じられる。
「――到頭最後の悲鳴をあげたね」
主任が、ジロジロ私の上気し、輝いている顔を偸見ながら云った。
「…………」
自分は黙ったまま、飽かずその記事をよむのであった。
六月二十八日。自分は八十二日間の検束から自由をとり戻した。