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けんきょう

剣侠

国枝 史郎

「山形新聞」1936(昭和11)年3月~8月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 156,961 字 · 310 页

青空文庫

「主君の内意をお伺いして」

よしと云ったら連れて行こう。こう不図主水は考えつき、上役を介して伺いを立てた。

と、主君が仰せられた。

「親の敵を二人の子が討つ、しかも一人は女とのこと、健気である。仕れ。聞けば澄江は小太刀を使うとのこと、足手まといなどにはならぬであろう」

さらに奥方よりは澄江に対して、守袋と金一封をさえ、使者を以て下された。

上々吉の首尾であった。

こうして二人は旅へ出た。

先ず甲州へ出かけて行った。

と云うのは陣十郎は寄食している間、過去に悪事でも犯しているためか、その過去について語ろうとせず、訊いても言葉を濁らせて、真相らしいことは云わなかったが、しかし鴫澤家に寄食する直前、甲州辺りの博徒の家に、賭場防ぎ即ち用心棒として、世話になっていたということを、問わず語りに語ったことがあった。

雲を掴むような洵にあやふやな、あてにならないあてであったが、その他には探すあてが無かったので、二人――主水と澄江との二人は、ともかくも甲州へ行くことにした。

さて甲州へ行って尋ねたところ、栗原宿の博徒の親分、紋兵衛という老人が、二人にとってはかなり為になる、耳寄の話を話してくれた。