轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんきょう
剣侠
国枝 史郎
「山形新聞」1936(昭和11)年3月~8月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 156,961 字 · 310 页
低級の観客の趣味に、巧みに迎合させていた。講釈場もあれば水芸、曲独楽、そんなものの定席もできていた。
曲独楽の定席の前まで来て、浪之助はちょっと足を止めた。
しばらく思案をしたようであったが、木戸銭を払って中へ入った。
こんなものへ入って曲独楽を見て、口を開けて見とれるという程、悪趣味の彼ではないのであったが、以前にここの娘太夫で、美貌と業の巧いのとで、一時両国の人気を攫った、本名お組芸名源女そういう女と妙な縁から、彼一流の恋をした。ところが今から一年ほど前に、不意にその女が居なくなった。悪御家人の悪足と一緒に、駆落ちしたのだという噂があったり、養母に悪いのがついていて長崎の異人へ妾に売ったのと、そんな噂があったりしたが、とにかく姿を消してしまった。浪之助は妙にその女には、かなりの執着を持っていて、姿を消されたその当座は、ちょっと寂しく感じたりし、もうその女がいなくなった以上、そんな曲独楽なんか見るものかと、爾来よりつきもしなかったが、今日は彼の心の中に、昔なつかしい思いが萌えた。そこで、木戸をくぐったのである。
桟敷と土間もかなりの入りであった。