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げきだん「わらうようま」

劇団「笑う妖魔」

山本 周五郎

「少年少女譚海」1938(昭和13)年夏期増刊号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,705 字 · 18 页

青空文庫

耳を聾する銃声、

「ああーッ」

道化は喉にひっかかるような呻声と共に胸を押えてよろよろと、奇術用の卓子へよろけかかった。観客は勿論、それも芝居だと思っていた。――しかし、奇術師たちがさっと顔色を変えたのと、道化役が胸にべっとり血を滲ませながら倒れるのを見ると、

「あ、いまのは実弾だぞ」

「そうだ、実弾らしい」

「道化は死ぬぞ」

と観客たちも色を失って総立になった。――舞台では奇術師の一人が道化の側へ駈寄った。そしてしどろもどろな声で、

「幕だ幕だ、幕を下せ」

と叫んだ。然しそのとき五郎は、

「待て! その体に触るな」

と絶叫しながら舞台へ跳上る。続いて――万一の場合を考えて五郎の頼んでおいた私服刑事が二十名ばかり、ばらばらと五郎について舞台へ駈け登ってきた。

歓楽の大劇場は一瞬にして恐怖の坩堝と化した。幕の外では観客の沸返る騒ぎ、幕の内側では、――五郎が血まみれの道化を抱きおこして、

「兄さん、僕です、五郎です」

と狂気のように叫んでいた。

「確りして下さい、約束を忘れたのですか、兄さん、兄さん※(感嘆符二つ、1-8-75)」

「五……郎」

道化はようやく顔をあげ、ひどくもつれる舌で、