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かご

加護

宮本 百合子

「大阪毎日新聞(夕刊)」1920(大正9)年8月17日~28日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,147 字 · 33 页

青空文庫

たとい、口は永久に喊(とざ)されても、お幾には、耳に囁かれると同様、強く、はっきり、友の心は感じられた。自分にかけられた沈黙の裡の信任を、お幾は、天地の間に読み取った。

「お恵さん、どうぞ安心して神様のお膝に還って下さい。私が生きている間はあなたが心配なさるようには決してしません。淑子さんは、きっと引受けました。ほんとに不仕合わせな一生をお送りなすったけれど……」

彼女は、心の中で思うさえ、甘露台などという文句は今の場合、空々しくて云えなかった。お幾は、涙を拭き拭き、自分の頭から櫛をとって、乱れかけた友の後れ毛を掻きあげた。

底本:「宮本百合子全集 第二巻」新日本出版社

1979(昭和54)年6月20日初版発行

1986(昭和61)年3月20日第5刷発行

底本の親本:「宮本百合子全集 第二巻」河出書房

1953(昭和28)年1月発行

入力:柴田卓治

校正:松永正敏

ファイル作成:野口英司

2002年1月7日公開

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