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かん
勘
中谷 宇吉郎
「西日本新聞」1955(昭和30)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,033 字 · 3 页
そういう調査をするための客観的材料がないからである。
ところが、ここに一つ、たいへん面白い材料がある。それは鶏の雌雄鑑別である。アメリカでは、卵を非常に沢山食べるので、雛のうちに雌雄を鑑別して、雌だけ育てることは、飼糧節約の上でも重大問題である。それで、これは一つの事業として成立しているわけであるが、面白いことには、この鑑別は、日本人に限ると言われている。
中部だけでも、毎年十五人ばかり、鑑別士を日本から呼んでいるが、アメリカ政府も、この人たちには、査証の点などで、いろいろ便宜をはかっている。前からいる人を集計したら、何百人となるであろう。
鑑別には時期があって、普通春から夏にかけて、約四カ月がその時期とされている。この間に鑑別した数によって、金を貰うわけであるが、優れた鑑別士は、四カ月に七千ドル(二百五十万円以上)も儲けるそうである。このシーズンのあとは、他の仕事をしていればよいので、まことに結構な話である。
そういう仕事であるから、アメリカ人もできればやりたいにちがいない。それを日本人の専門みたいにしているところをみると、勘が実在しているからであろう。