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ほっかいのなみにさらわれたが
北海の波にさらわれた蛾
小川 未明
「童話」1926(大正15)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,968 字 · 10 页
と、つばめはいいました。
蛾は、いまさら、その島が、それほど、美しい、有名なところであるのを知りました。
「私たちは、遠い、南の深林から旅をして、幾日も、幾日もかかって、ここまでやってきたのです。いっしょに出発しながら、長い日の間には、おくれたり、また災難にかかって死んだりした仲間もありました。しかし、これから、海を渡ることが困難だと思っています。」と、蛾はいいました。
つばめは、体をつぼめるようにして、高原の上を吹いてくる、風の方に向かっていましたが、
「私たちも、やはり、南からきたものです。その島にいって見物がすんだら、あまり寒くならないうちに、故郷へ旅立ちしなければなりません……。」と、答えたのです。
蛾たちは、このつばめの言葉を聞いて驚きました。
いま、日の光は強く、空は、輝いているけれど、やがて、自分たちにとって怖ろしい秋がやってくることを、つばめの言葉によって悟られたからでした。
「私たちは、二度と故郷へは帰ることはできまい。せめて、早く、その島に着いて、死ぬまで楽しく送りたいものだ。」と、蛾は、ため息をつきました。
「そんなに歎いたものでない。