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じゅうにしこう

十二支考(下)〔全2冊〕

南方 熊楠

南方熊楠『十二支考(下)〔全2冊〕』。同一底本的分册已合并为一书。收入:十二支考、十二支考、十二支考、十二支考、十二支考、十二支考。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,906 字 · 495 页

青空文庫

と連呼したので向う風が灰を吹き入れてその眼を潰し、爺屋根より堕つるを鴈が落ると心得、婆が大きな槌で自分の老夫を叩き殺したというのだ。

馬琴の『※(「覊」の「馬」に代えて「奇」、第4水準2-88-38)旅漫録』上に、名古屋で見た絵巻物を列した内に「『福富の草子』云々、京にありし日同じ双紙の写しを見たり、橋本氏の所蔵なり(追書に橋本経亮の所蔵を見たり、そを写させしが京伝子懇望により贈り与えたり)、今児童の夜話に花咲爺というものよくこの福富長者の事に似たり、これより出たる話にや」と記す。『福富草子』は足利氏の世に成ったもので、『新編御伽草子』の発端に出おり今は珍しからぬ物だが、京伝、馬琴の時には流布少なかったと見える。これは福富の織部なる者面白く屁をひる事に長じ、貴人面前にその芸を演じ賞賜多くて長者となる。隣人藤太これを羨み、長者より薬を貰い、今出川中将夫妻らに謁して芸を演じ損じ不浄を瀉し、随身に打たれ血に塗れて敗亡した始末を述べたものだ。この話の根本らしいのが仏経にある。

『雑宝蔵経』八にいわく、昔波羅奈国の梵誉王、常に夜半に塚間に咄王咄王と喚ぶを聞く、よく聞くと一夜に三度ずつ喚ばわる事やまず。