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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
南方熊楠『十二支考(下)〔全2冊〕』。同一底本的分册已合并为一书。收入:十二支考、十二支考、十二支考、十二支考、十二支考、十二支考。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,906 字 · 495 页
また足利氏の世に成った『簾中抄』に孕女の忌むべき物を列ねた中に、鯉と野猪あり。この二物乳多からしむと『本草』に見ゆるにこれを忌んだは、宗教上の制禁でもあろうか。
また、既に書いた通り猪類皆好んで蛇を食う。それについて珍譚がある。定家卿の『明月記』建仁二年五月四日の条に「〈近日しきりに神泉苑に幸す、その中猟致さるるの間、生ける猪を取るなり、仍りて池苑を掘り多くの蛇を食す、年々池辺の蛇の棲を荒らすなり、今かくのごとし、神竜の心如何、もっとも恐るべきものか、俗に呼びていわく、この事に依り炎旱云々〉」。天長元年旱災の際、弘法大師天竺無熱池の善如竜王をこの池に勧請して、三日間あまねく天下に雨ふる。その時大師、もしこの竜王他界に移らば、池浅く水減じて恒に旱し常に疫せんといった由(『大師御行状集記』六九―七一)。しかるに、当時後鳥羽上皇講武のためしばしば神泉苑に幸し、猪狩りを行うとて野猪を野飼いにされたので、年々池辺の蛇を食いその棲処を荒らす故、蛇の大親分たる善如竜王が憤って雨を降らさぬと風評したのだ。西暦千七百年頃オランダ人ボスマン筆『ギニヤ記』に、フィダーの住民は蛇を神とす。