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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
南方熊楠『十二支考(下)〔全2冊〕』。同一底本的分册已合并为一书。收入:十二支考、十二支考、十二支考、十二支考、十二支考、十二支考。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,906 字 · 495 页
一に清盛内裏で怪鼠を捕うる記事中、鼠は大黒天神の仕者なり、これ人の栄華の先表なりとある。特に白鼠と書いていないが、多分その頃既に白鼠を尊んだものと察する。
インドのガネサ、中央アジアの毘沙門、日本の大黒天の使い物としてほど盛大にないが、多少鼠を神物と信ずる風習はこの三国のほかにもある。またこの三神に関係なしにも存した。古エジプト人は上述クサタナ国の鼠王同様ヒミズを神とし祈って大敵を破った(ローリンソンの『ヘロドトス』二巻一八九章)。これは英国でシュリウ・マウスと称え、俗に鼠と心得、支那で地鼠、本邦でノラネまたジネズミ、日光を見れば死すとてヒミズと呼び、鼠に似た物だがその実全く鼠と別類だ。コンゴ国には鼠を神林の王とし、バガンダ人は、ムカサ神がキャバグ王のその祠堂を滅せしを怒り、群鼠をして王の諸妃を噛み殺させた話を伝う(一九〇六年板、デンネットの『黒人の心裏』一五三頁。一九一一年板ロスコーの『バガンダ人』二二四頁)。日本にも三善為康の『拾遺往生伝』中に、浄蔵大法師を謗った者その日より一切の物を鼠に食わる。本尊夢の告げに予てより薬師の十二神将が浄蔵を護る、その日の宿直が子の神だったから鼠害を受くるのだと。