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じゅうねんごのラジオかい

十年後のラジオ界

海野 十三

「新青年」1929(昭和4)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,890 字 · 4 页

青空文庫

なにしろこの世と、死後のあの世とが、ラジオで連絡されるのだからネ。――たとえば此処にC子というトテシャンがあったとする。彼女は或る甚だ面目ないことを仕でかし、面目なさにシオらしく、ドボーンと投身自殺を果したとする。やがていよいよ死の国で、わがC子は正気づく。すると憩う遑もなく、忽ち娑婆から各新聞社が自殺原因をラジオで問い合わせて来る。親たちや、友人や、恋人もラジオで訊ねて来る。受持区域の交番からオマワリさんが調べに来る。冥土に於けるC子の姿は無線遠視に撮られて、直ちに中央放送局へ中継される。娑婆ではこれを、警察庁公示事項のニュースとしてC子の姿を放送する。それは、一ツには冥土への安着を報せ、二ツには娑婆に債権者でもあれば今の内に申し出て、何とか解決方法をとらせるためである……」

「一寸待ったAさん。君の話は面白いが、何だか落語か法螺大王の話をきいているような気がする。Aさん、怒っちゃいけないよ――君は本当に正気で言ってるのかい。」

「度し難いBさん。これは皆、専門の学術から割り出したもので、根拠のないことなど、僕は喋らない。唯、くだけて話すから、落語のように聴こえるのだ。