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じゅうばんざっき
十番雑記
岡本 綺堂
「思ひ出草」相模書房、1937(昭和12)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,745 字 · 16 页
おまけに午後には二、三人の来客があったので、一向に仕事は捗取らず、どうにかこうにか片附いたのは夜の九時頃である。それでも門前には往来の足音が忙がしそうに聞える。北の窓をあけて見ると、大通りの空は灯のひかりで一面に明るい。明治座は今夜も夜業をしているのであろうなどとも思った。
さて纏まったこの雑文集の名をなんといっていいか判らない。今の仮住居の地名をそのままに、仮に『十番随筆』ということにしておいた。これもまた記念の意味に外ならない。(十二月二十五日)