轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年11月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,906 字 · 54 页
「ほんとうにねえ。
今年は今っから海岸にでも行ってたらどうです?
「今はまだ東京に居とうござんすよ、
今頃の東京は一寸ようござんすからねえ。
ネルの着物を着る頃の銀座の通りが大好きですよ。
かなり長い間おぼえて居られる人を見られるしするから。
「私なんか一寸でもおぼえて居られる人に会った事なんて銀座を歩いたってありません。
男だからでしょうかねえ。
「そんなこってあるもんですか、
目速くないからなんですよ。
いつまでもおぼえてた人の中でたった一人妙な事で私にわすられない人がありましたっけ。
何でもない人だったんだけれ共後れ毛をかきあげた小指の変な細さが目について忘られない人の仲間入りしたんですよ、
十七位の娘でしたけど。
そうして思い出す時には一番始めに前髪の処にあがった小指から頸から前髪から眼と云う順でしたよ、どんなはじっこにあるものでも一番先に目の行った場所から見えて来るもんですねえ。
そいで一寸も変な形容じゃないんです。
「私そんな事一度もあった事がありませんよ、
面白いもんですか?
そんな事を云う人はあんまりありませんねえ、
私達の知ってる人の中で。