轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちよこ

千世子

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第二十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年11月25日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 83,104 字 · 164 页

青空文庫

濃い優しげな髪をもって居る。

Hに特別な同情と気持を千世子は持って居た。他人の話をきいて自分はだまって居る事の多い、話をする時にはいつでも丸いふくらみのある声でし、声楽のかなり出来るHは、千世子の一家から頭のすぐれた母親の気のおけない話し相手、千世子にはかなりいろんな事を教えて呉れる人として、大抵の人にはすきがられて居た。Hがこの家庭に出入し始めたのは二年前の夏頃から父親のいそがしい仕事を手伝ってもらう様になってからで、その年の冬になると、

「始めてお目にかかった時はお互にすまして居ましたネエ」

と云うほどまで独身で内外の事をさばいて居るHは母親にこまっかい経済の事まで相談して来るほどだった。

木枯が情ないほど吹きまくって青白い月の水の様にかがやく晩、明け近くなるまで話し合った事があった。

昼間のいそがしさにつかれて夜になるとじきに眠気がさす笑上戸の千世子の父親は、

「年をとると眠るのがたのしみですワイ、私はもう御免こうむります、いねむりをすれば奥様に叱られますから……」

おどけてわざと腰をまげ、年よりじみた風をして寝室にひっこんでしまった。三人はしめきった西洋間で赤くもえ上るストーブの焔を見ながら、特別に造られた国に住む人間の様なわだかまりのない気持で居た。