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せんばづる
千羽鶴
小川 未明
「教育の世紀 4巻7号」教育の世紀社、1916(大正15)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,277 字 · 5 页
ある村に人のよいおばあさんがありました。あるとき、お宮の境内を通りかかって、たいへん、そのお宮がさびしく、荒れてしまったのに心づきました。
むかし、まだおばあさんが、若い娘の時分には、そんなことはなかったのであります。盆には、この境内で、みんなと唄をうたって踊ったこともありました。その時分には、みんなが、よくお詣りにきたものです。
「世の中も末になったとみえる。神さまを大事にしない。もったいないことだ……。」と、おばあさんは、思ったのでした。
家に帰ってからもおばあさんは、そのことを思っていました。
「おばあさん、つるを折っておくれよ。」と、孫たちが、色紙を持って、おばあさんのところへやってきました。
おばあさんは、つるを上手に折って、子供たちによくわけてくれたからです。
「よし、よし、折ってやるよ。」と、おばあさんはいいました。しなびた指さきで、目をしょぼしょぼしながら、おばあさんは、赤・青・黄の紙で、いくつも小さなつるを折っていました。そのとき、ふと、千羽鶴を造って、お宮へ捧げたら、自分だけは神さまをありがたく思っている志が通るだろうと考えたのです。