轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せんりがんそのた
千里眼その他
中谷 宇吉郎
「文藝春秋」1943(昭和18)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,478 字 · 26 页
そういう条件は本来は事件全体が一笑に附さるべき条件なのであるが、問題はそういういわば馬鹿げた話が全国の朝野を風靡したという事実にある。
もともと念写の起りというのが、のんき極まる話なのである。初めに透視の実験で途中で開封するのではないかという懸念のために、写真乾板の上に物を載せて透視してもらった。もし開封すれば後で現像してみれば感光するから分るというので、これは巧い方法である。ところが実験の結果は乾板は感光していた。そこでこれは大変だ、念力には感光作用もあるらしいということになったのだそうである。実際はもっと紆余曲折はあったのであるが、結局筋はそういうことらしい。これでは話にもならない。
こういう風に書いてみると、そういう明白な事実を解明するのに、どうしてこれだけの騒ぎになったかが、一番不思議である。そして今更のように世の中というものは複雑極まるものであるという感を深くする。しかしそれが社会というものの実相なのである。
長老の物理学者の一人で、前北大予科主事の青葉万六先生から、明治時代の日本物理学界の回顧談をきいたことがある。その時先生は、この千里眼事件について、当時の我が国が、如何に挙げてこの事件に狂奔したかを話され、そしていよいよとなった時に頼りになったのは、当時の理科大学の先生たちだけであったと述懐