轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せんりがんそのた

千里眼その他

中谷 宇吉郎

「文藝春秋」1943(昭和18)年5月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,478 字 · 26 页

青空文庫

千里眼に類似の事件は、その後も数回あった。そして今後も起り得る問題である。特に今次大戦下のような緊迫した国情の下では、「一億の熱意の迸り出るところ」一つ舵を採り損ねると、どんな大規模な千里眼事件が発展しないとも限らない。そしてそれは為政者の力でも阻止出来ない場合も起り得るということは、歴史の示す通りである。

この種の事件が、科学技術の総力戦において、特に害毒を流す場合が多いことも十分理解されよう。しかしそういう大切な問題も、その解決乃至予防は案外簡明である。それは各人が中学程度の科学を十分に把握し、そして着実真摯な道を歩むのが結局一番の早道であることを忘れなければよいのである。もっとも本当はそれが一番むつかしいことなのである。

それならばそういう困難な方法によらず、科学者が少し犠牲になって、そういう問題の芽生えがあったら、一々摘み取ればよいとも言えよう。しかし科学者の方から言えば、そういう「場ちがい」の仕事に煩わされるほどの閑はない。第一次欧洲大戦の時に、英国の政府で、英国が世界に誇る大物理学者たちを総動員して、国防科学の素人発明を審査させたことがある。