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なんぽうものがたり

南方物語

小川 未明

「赤い鳥」1928(昭和3)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,065 字 · 11 页

青空文庫

二

美しい娘たちは、自分たちが、貝でつくったボタンを二つずつ三人に、わけてくれました。そして、無事に、故郷へ着くようにと祈ってくれました。言葉はわからなかったけれど、人情にかわりはありませんでした。島の人たちのまごころは、三人の胸に通じて、永久に忘れられないものでした。また三人の心からの感謝は、島の人たちにとどいて、彼らが船に乗って別れるときには、娘たちは、涙を流して見送っていたのであります。

二

北方人の目には、島の景色が、いつまでも残っていました。また、つばめが、たくさんこの島にすんでいたこと、島の人たちが、みずから、その島をつばめの島といっていたことも忘れることができませんでした。

こうして、三人の乗った船は、かぎりない、青い海に吸いこまれるごとく、あてもなくただよいはじめたのです。島の人々が、どちらに太陽を見てゆくときは、どの方向へゆくということを教えてくれたので、それをただ一つのたよりとしました。

しかし、北へ帰る旅も、無事ではありませんでした。一片の木の葉にもひとしい、たよりない船は、ある日、また風のために吹き流されて、知らぬ他国の岸に着けられたのでした。