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なんぽうものがたり
南方物語
小川 未明
「赤い鳥」1928(昭和3)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,065 字 · 11 页
そして、その国の人たちは、島の人々のように、しんせつではありませんでした。三人は、さっそく金に困ったのでした。身につけているもので、売って金目になるようなものはなにもありません。このとき、一人は、島の娘からもらったボタンに気がつきました。
「おい、兄弟、なんともいえないきれいなボタンだが、これは金にならないものだろうか。」
こういうと、二人は、頭をかしげました。
「そうだな、たいした金にもなるまいが、ひとつ見せてみようか。」といいました。
それから、町を歩きまわって、いろいろめずらしいものを売る店にはいって、そのボタンを見せたのです。すると、主人らしい男が、その六個のボタンを手にとって、じっとながめていましたが、
「いくらで売るか。」といって聞きました。
三人は、自分たちは、風に流されて、こんなに遠くきたことを話しました。それで、故郷に帰る旅費にでもなればいいということを――心のうちでは、そんなになるとは思わなかったけれど――いったのでありました。
「いくら、お入り用か知らないが、精いっぱいにいただいて、金貨五つとならお換えいたします。」と、主人はいいました。