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なんきょくのかいじ
南極の怪事
押川 春浪
「中学世界」1905(明治38)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,508 字 · 33 页
と余は絶叫せり、余は学者にあらねば詳しき事は知らねど、かねて耳にせる事あり、これ世界の歴史がなお黒幕におおわれたりし時代、アフリカ西岸に古代の文明を集めたる瑠璃岸国のある好奇なる国王が、世界を経めぐらんとの望みを起して一大巨船を造り、百人の勇士と百人の美人と、その当時にあらゆる珍宝貨財とを乗せて本国を発せしが、南太平洋に乗りいりし後まったく行方不明となり、いまなお一大疑問を世界に遺せりと云うが、今日余がここに見るこの巨船は、その瑠璃岸国の巨船にはあらざるか、余は数千年以前の巨船がいかなる理由によりて、いまなお現存せるやをしらずといえども、ここに現存せる事だけは事実なり、これには科学上の不可思議なる理由あらん。もしこれが果して瑠璃岸国の巨船なりとせば――嗚呼余は学者にあらざる事を憾む――この船の発見がいかに古代の文明を今日の世界に紹介し、いかに多くの利益を現世紀以後の学者社会に貢献するかを――されどかかる事は云うだけ無益なり、余は今にもこの世を去るべき身なり、いかにしてもふたたび人間社会に帰るあたわざる身なり、余の乗り来りし帆船の燃ゆる