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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
「少女倶楽部」1927(昭和2)年4月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,869 字 · 112 页
「お前のような人間は、唐姫様にはお気に召さぬそうな」
「それは昔から解って居るよ」星影左門も負けてはいない。
「が、腕ずくでも手に入れて見せる」
浮木の姥はまた笑ったが、「我等の勢力を知らぬと見える」
すると左門も笑ったが、「そういうことを云うお姥こそ、我々の勢力を知らぬと見える。……と云うのはここにいる人数こそ、六十人にも不足だが、なお後から続々と、大勢の者が上洛るのだ、のみならず土右衛門も槌之介も、衆をひきいて上洛るのだ。いやいやその上に筑右衛門までが、衆をひきいて来るのだよ」
「ふふん」と云ったものの浮木の姥はいささか胆を奪われたらしい。「よかろうよかろう幾百人でも来い。しかし我等が固めている、処女造庭の境地へは、一歩たりとも入れぬからの」
「入れぬと云っても入ってみせる。がそれは後日の問題だ。今夜はこれで別れよう」
「これ」と浮木は声を強めた。「娘をこちらへ引き渡せ」
すると左門は民弥を見たが「随分美しい娘だの。酌などさせたら面白かろう。……お気の毒だが渡されぬよ」
「是非とも渡せ! 大事な娘だ!」
「ほほうそんなにも大事かな?」
「大事な娘だ、さあさあ渡せ!」