轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

「少女倶楽部」1927(昭和2)年4月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,869 字 · 112 页

青空文庫

廃屋と云っても云い過ぎではない。世が世なら伊勢の一名族、北畠氏の傍流の主人、多門兵衛尉教之殿、その人の住まわれる屋敷だのに。……貧しい生活をして居られると見える」

深い感慨に耽ったようである。

玄関とも云えない玄関へ立ち、「ご免下され」と声をかけた。

「はい」と女の声がして、現われたのは民弥であった。

恭しく一礼した右近丸。

「私ことは織田家の家臣、森右近丸と申す者、弁才坊殿にお目にかかりたく、まかりこしましてござります。何とぞお取次下さいますよう」

粗末な衣裳は着ているが、又お化粧もしていないが、自然と備わった品位と美貌、案内に出たこの娘、稗女などとは思われない、民弥という娘があるということだ、その娘ごに相違あるまい――こう思ったので右近丸は、こう丁寧に云い入れたのである。

「ようこそお越し下されました。織田様お使者おいでに就き、父に於きましても昨日以来、お待ち致しましてござります。然るに……」

と云うと娘の民弥は三指をついて端然と坐り、頸を低く垂れていたが、静かに顔を振り上げた。

「一夜の違い、残念にも、お目にかかれぬ身の上に、成り果てましてござります」