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はんこう

反抗

豊島 与志雄

「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页

青空文庫

」

「そんなら君、断ることは少しもないですよ、元々向うの好意から出たのだから。」

「ええ。」と周平は曖昧な返辞をした。

立ち上った時一寸呼び止められて、そこいらへお茶でも飲みに行こうかと誘われたのを、彼は断って、妙に慌しいような気持で辞し去った。

「この次一緒に飯でも食いながらゆっくり話しましょう。」と野村は彼を送って階段を下りながら云っていた。

二十四

周平は狭苦しい下宿の四疊半に身を投げ出し、両の拳を握りしめて深く息をした。

確かめておくつもりの自分の生活は、この上もなく明かになった訳だった。他からの補助は一切期待出来なくて、自分の腕一つに頼るのみとなった。手に触れるものは凡てを引掴んでいこう、と彼は決心した。その決心の下から、世を呪い人を呪いたい気持が湧き上ってくるのを、彼はじっと押えつけた。最初苦学をも辞さないと決心した時のことが、頭の中に浮んできた。記憶の底にこびりついてるあの晩の夢が、また思い出された。逞しい乞食の姿が見えてきた。彼は自ら云った。「自分は逞しい乞食となりたくはない。逞しい闘者となりたい。」

それでも、決心だけはあっても、これからどうしていったらいいか、殆んど見当がつかなかった。