轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くちぶえをふくぶし

口笛を吹く武士

林 不忘

「サンデー毎日」1932(昭和7)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,467 字 · 21 页

青空文庫

「この、裏門のまえに、雑貨商があるな。御存じかな?」と、覗くように一角の顔を見て、はじめていた。「米屋五兵衛とかいう――あれは、前原といって、赤穂の浪士だと密告して来たものがあるが。」

一角は、笑った。

「またですか。私はまた、この本所の万屋で小豆屋善兵衛というやつ、それがじつは、赤浪の化けたのだと聞かされたことがあります。たしか、かんざし四五郎とか、五五郎とか――しかし、埓もない。そうどこにも、ここにも、赤浪が潜んでおってたまるものですか。そんなことをいえば、出入りの商人や御用聞きも、片っ端から赤浪だろうし、第一、そういうあなたこそ、赤穂浪士の錚々たるものかも知れませんな、あっはっはっは、いや、風声鶴唳、風声鶴唳――。」

小林は、手文庫から、元赤穂藩の名鑑を取り出して、畳のうえにひろげて見ていたが、つと一個処を指さして、

「ほら、ここにある。前原伊助宗房、中小姓、兼金奉行、十石三人扶持――。」

二

一角は、貧乏ゆすりのように、細かく肩を揺すって、口のなかで呟いていた。

「清水一角、とはこれ、世を忍ぶ仮りの名。何を隠そう、じつを申せば浅野内匠頭長矩家来――などということに、そのうちおいおいなりそうですな、この分ですと。