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ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页

青空文庫

手にはルスタム自身がぬがせてやったスーラーブの鉄の兜が仰向けに捧持たれている。ルスタムは、手綱にかけた手をとめ、釘づけになったように眼を凝した。静かな、短い行列は、輝く主のない兜を守って、実にひっそりと、無限の空虚を運んで来るように感じた。

ルスタムの、老いた顔は、急に引釣った。膝頭がまるで力を失った。

彼は蹌踉(よろよろ)と! 馬の脇に靠れかかった。

彼は、頻りに片手で額の汗を押し拭うようにしながら呟いた。

「よし、よし。わかった。――が、この父のルスタムは、讐をどう討てばよいのか……」

底本:「宮本百合子全集 第二巻」新日本出版社

1979(昭和54)年6月20日初版発行

1986(昭和61)年3月20日第5刷発行

底本の親本:「宮本百合子全集 第二巻」河出書房

1953(昭和28)年1月発行

初出:「小樽新聞」

1924(大正13)年1月14日~3月9日号

※底本では、二度目に現れる「内房」についていたルビ「アンダルーン」を、初出につける形にあらためた。

入力:柴田卓治

校正:松永正敏

ファイル作成:野口英司

2002年1月24日公開

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