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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页
あんなに隠され、かくまわれていた秘密、或は神秘と呼ぶべきことが、これほど偶然の機会で明されるのかと思うと、スーラーブは、妙に、信じかね、あり得べからざることのように感じずにはいられない。
八
考えているうちに、彼の心には次々に、新な疑問が起った。かりにも母が、その飾りを身につけていることが、却って、スーラーブを、思い惑わせたのである。万一、自分の想像が当り、見知らぬ父と関係あるものなら、彼女がそれを頸にかけるという一事だけで充分、その人の価値と、母のその人に対する愛を示されたということになる。ところが、案外の勘違いで、母のまごつきは、その宝石が、娘らしい物欲しさから、祖父の許しを得ず、そっと織物とでも換えたものだという、思い出から出たのかも知れない。
いつ? 自分だけの考えに沈み、スーラーブは心付いて、四辺の沈黙の深さに愕(おどろ)いた。
何とか口を開こうとした拍子に、彼は一つのよいことを思いついた。彼は、要心し、母を脅かすまいためわざと軽く、冗談めかして、
「ねえ母上、私には、その土耳古玉が、不思議にいろいろのことを考えさせますよ」