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ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页

青空文庫

朝から晩まで、その中で、小さい自分の相手になって、玉を転したり、笑ったり、時には腹を擽ったりした、白い手の、大きい金の耳輪を下げた、母とは違う若い女房の、悠(ゆっ)くりした腰袴の裾につらまって、始めて、歩廊の淡雪を踏んだときの驚き。

七年目の誕生日が来た朝、スーラーブは、初めて青々と剃った小さい頭に、赤い条入りの絹の纏布を巻きつけられた。そして、腰に宝石入の幅狭帯と、短剣とを吊った。

仕度が調うと、内房じゅうの女が一人一人彼に祝福を与え、内房の外仕切りの垂帳の処まで送って出た。外には、男の家臣が、迎えに来ている。スーラーブは、大きな大人が、こごみかかって自分に捧げる歓迎の言葉に、赤くなり、嬉しさと当惑とを半々に感じた。それでも、小さい足に力を入れて、先に立ち、勢いよく、別棟の、男の、住居に入って行った。

その日から、彼は祖父の保護の下に置かれることになった。今迄のように、内房の嬰児ではなく、サアンガンの統治者となるべき少年としての訓練が始まった。スーラーブは、祖父の居室の一隅に積み重ねてある坐褥の上に眠った。空が明るくなると同時に起き出して、白髭の祖父と並び、天と地とを照し、正義ある王を守る太陽に礼拝することと、その時称うべき祈祷の文句を教わる。