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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
在线阅读和辻 哲郎《古寺巡礼(こじじゅんれい)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 143,765 字 · 285 页
法隆寺壁画にもすでに日本化を認めた。あれは西域式の画を中宮寺観音の気分によって変化したものといえよう。この種の変化の証跡が天平盛期の芸術にはもっと著しいとはいえないであろうか。建築では三月堂や唐招提寺に確かにあの気分のヴェエルがかかっていると思うが、これは比較すべき唐の遺物がないのであるから断言はできない。彫刻では聖林寺の十一面も三月堂の梵天も、天平特有の雄大な感じのうちに、唐の遺物に見られないこまやかさと柔らかさとを持っている。あの特質が形を変えて内から働き出し、唐の様式の上に別種の趣を加えたのではないであろうか。
あの悲しく貴い半跏の観音像は、かく見れば、われわれの文化の出発点である。『古事記』の歌もこの像よりさほど古くはない。現在の形に書きつけられたのは百年近く後である。上宮太子の文化が凝ってこの像となったとすれば、上宮太子はまた我が国最初の偉人でなくてはならない。その太子の情生活が、ほとんど情死にも近い美しい死によって、――夫人は王と共に死んだのである、王の死は自然に夫人の死を伴ったのであった、――その死によって推察せられるならば、そこにはたましいの融合を信じまた実現したしめやかな愛の生活がある。