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ふるむじな

古狢

泉 鏡花

在线阅读泉 鏡花《古狢(ふるむじな)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,891 字 · 40 页

青空文庫

「決して悪く云ったのじゃない。……これで地口行燈が五つ六つあってごらん。――横露地の初午じゃないか。お祭のようだと祝ったんだよ。」

「そんな事……お祭だなんのといって、一口飲みたくなったんじゃあ、ありません? おっかさん(外套氏の従姉をいう)ならですけど、可厭よ、私、こんな処で、腰掛けて一杯なんぞ。」

「大丈夫。いくら好きだって、蕃椒では飲めないよ。」

と言った。

市場を出た処の、乾物屋と思う軒に、真紅な蕃椒が夥多しい。……新開ながら老舗と見える。わかめ、あらめ、ひじきなど、磯の香も芬とした。が、それが時雨でも誘いそうに、薄暗い店の天井は、輪にかがって、棒にして、揃えて掛けた、車麩で一杯であった。

「見事なものだ。村芝居の天井に、雨車を仕掛けた形で、妙に陰気だよ。」

串戯ではない。日向に颯と村雨が掛った、薄の葉摺れの音を立てて。――げに北国の冬空や。

二人は、ちょっとその軒下へ入ったが、

「すぐ晴れますわ、狐の嫁入よ。」

という、斜に見える市場の裏羽目に添って、紅蓼と、露草の枯れがれに咲いて残ったのが、どちらがその狐火の小提灯だか、濡々と灯れて、尾花に戦いで……それ動いて行く。