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うもんとりものちょう

右門捕物帖(一)

佐々木 味津三

佐々木味津三『右門捕物帖(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 220,431 字 · 428 页

青空文庫

けれども、右門は伝六のおどろいていることなぞにはいっこうむとんちゃくで、ちょうど幕が上がっていたものでしたから、引き入れられるように舞台へ目をすえだしました。見ると、まことや口上言いの能書きどおりなのです。黒い玉に乗って柳の影から、まるで足のない幽霊のごとく、ふうわり舞台へ現われると、太夫はいかにも怪しい唐人語を使って、不思議な踊りを玉の上で巧みに踊りました。と、同時でした。右門は突然しかるように、伝六へいいました。

「きさま、今の唐人語に聞き覚えないか」

「え? なんです。なんです。唐人語たあなんですか?」

「どこかであれに似た節のことばを聞いたことはねえかといってるんだよ」

伝六が懸命に考えていましたが、はたとひざを打つようにいいました。

「あっ! そういえば、こないだお花見の無礼講に、清正と妓生が、たしかにあんなふうな節を出しましたね」

「それがわかりゃ、きさまもおおできだ。このうえは、土手のおでん屋を詮議すりゃ、もうしめたものだぞ。来い!」

恐ろしいすばしっこさで、そのまま右門が表へ駆けだしたものでしたから、まだはっきりとわからないがだいたいめぼしのついた伝六も、しりをからげてあとを追いました。