轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
佐々木味津三『右門捕物帖(四)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖、右門捕物帖。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,105 字 · 337 页
てがら顔に辻占売りが指さしたやみの向こうを見すかすと、なるほど二つの黒い影が急いでいるのです。
ふたりともにすっぽりと、お高祖頭巾でおもてをかくしていたが、前を行くやせ型のすらりとした影こそは、まさしくあの娘の千萩でした。しかも、うわさのとおり、大きなお櫃をかかえているのです。
「懐剣を持っているな」
「懐剣!」
「あのうしろを守って行く女中のかっこうを見ろ。左手で胸のところをしっかり握っているあんばいは、たしかに懐剣だ。どうやら、こいつは思いのほかの大物かも知れねえぜ」
ぴんと名人の胸先にひらめいたのは、――血! 血! 血! あの軸物に降るいぶかしい生血のことでした。
娘のかかえている不思議なお櫃は、血を入れるお櫃かもしれないのです。うしろの女中の懐剣は、その血をとりにいく懐剣かもしれないのです。
生き血を盗みに行く娘。
犬の血か? 人の血か?
左右をすかしつ、見つつ、人目を恐れるようにひたひたと急いでいく様子は、ともかくもなにか大きな秘密を持っているにちがいないのです。
「だいじなどたん場だ。声を出したらしめ殺すぞ」
「だ、だ、だ、だいじょうぶ。なんだか変なこころもちになりやがって、出したくとも、で、で、出ねえんですよ……」