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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
「国民之友」1892(明治25)年5月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页
話聖東のこと起り、蘭夷の報ずるところを聞けば則ち曰く、「未だ台海潯を環らすを見ざれば、南風四月甚だ心に関る」。※(「石+駮」、第3水準1-89-16)台を品海に築けば則ち曰く、「疇昔の戯談呆に憑る、当今の急務元戎にあり」と。象山また復書を持ちて夷国に到らんと欲す、則ち曰く、「微臣別に謀を伐つの策あり、安んぞ風船を得て聖東に下らん」と。蘭夷に命じて軍艦を致さしむと聞きては大いに喜びて謂えらく、ただこれを蘭夷に託するはいまだ善を尽さず、宜しく俊才巧思の士数十名を撰び、蘭舶に付して海外に出だし、それらをして便宜事に従い以て艦を購わしむべし、則ち往返の間、海勢を識り、操船に熟し、かつ万国の情形を知るを得ん、その益たるや大なり、と。因って窃かに建白する所あり。然れども官能くこれを断行すること無し。予が航海の志、実にここに決す。
合衆国の船、金川に来るに及んで、松代・小倉の二藩、応接警衛の命を受け、象山軍議官を以て軍に従う。喜びて曰く、「また以て少しく国威を示すべし」と。已にして幕府の吏と陣を設くるの処を議し、論累りに合わず。蓋し幕府の二藩の兵を用うるは、夷輩が非を為すを禁訶するに非ず、実に夷輩のために非常を警衛するのみ。