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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
「国民之友」1892(明治25)年5月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页
といい、「今般仮条約の趣にては、御国体立ち難くと思召さる」というに過ぎず。要するに京都の議論は、その説明において冷熱の相違あり、その実行において、晦顕の差ありといえども、鎖国攘夷の精神に至っては、始終一轍に出でざるものなきは、当時の情勢断じて疑うべからず。何となれば京都を動かすものは、彼の智勇弁力の徒なればなり。
然るに一方においては、かくの如く国論沸騰、廟議紛擾その統一を失うたるに際して、他方においては、宿約たる安政五年三月五日調印の期日を失し、遂に遷延五月二日に至り、いよいよ七月二日を以て、調印する旨改めて閣老連署の書面を以て、ハリスへ申込を為せり。而してこの時において、幕府には、継嗣論一大難題となり、これがために井伊直弼、安政五年四月二十五日に大老職に就き、その余勢の及ぶ所、遂に勅許を経ずして、六月仮条約に調印し、ここにおいていわゆる違勅の大抗議を天下に喚起せり。而してこれと同時に、その反対者たる尾張、水戸、越前に蟄居を申付け、一橋慶喜の登城を差留め、いわゆる攘夷党、水戸派、もしくは一橋を儲君とするの派、その他自家の反対党と目指すものはその諸侯と幕臣たるとを問わず、尽くこれを黜罰したり。